読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

センチメンタルの涅槃

読書、漫画、映画感想用。中二病と喪女をこじらせた24歳。吾妻ひでお、山田花子、真造圭伍、九井諒子などが好きです。

雨宮兄弟は何故外で20本箱入りアイスを食べていたのか過程を考えてみる――HiGH & LOW THE RED RAIN 妄想いろいろ

映画 妄想

先週の土曜に「HiGH & LOW THE RED RAIN」を観て以来、雨宮兄弟のことを考えすぎて仕事が手につかなくなる症状に侵され、映画に使用されていた雨宮兄弟キャラソン(?)

 

ACE OF SPADES feat. 登坂広臣 / SIN

www.youtube.com

 

これを見ても、もはや、臣くんかっこいいとかで全くなく、

(雅貴以上に広斗の方が何か格好とか歌い方とかイキってるのがめっちゃ可愛い…可愛いな…) としか思わなくなったくらいの末期症状。

雨宮広斗の三男ぷりを語るには、ぜんぜん、この間の通常感想↓

 

barakofujiyoshi.hatenablog.com

 

では足りんというか気が済まんので、私が見たい雨宮兄弟と気になった点を妄想で補完しようと思う。

初めに断っておくが、以下、考察でも何でもなくただの私の妄想である。BなL的直接描写はないがやや腐向け。

 

 

私が見たい雨宮兄弟① 生まれて初めて雅貴に殴られてガチヘコみする広斗と広斗より落ち込んでる雅貴 

 

THE MOVIEでは、まだ、かっこいいに寄っていたのだが、レッドレインで完全に「三男可愛い三男可愛い」という方向に評価が振り切れたので、私の中で、「可愛い三男」を追求した結果受信したのが、「雅貴に殴られてめちゃくちゃヘコむ広斗」というシーンである(もう一度断っとくが、本編にはそんなシーンはない)

 

そもそもの前提として、ハイロー界の人物は、やたらと登場タイミングが良すぎるといったほか、何だかんだ言って牧歌的というか優しいよなあと思う。たとえば、ドラマ版のラスト、山王VS達磨の喧嘩の最中に、特に意味もなくSWORDの各トップが全員揃うといった場面があったが、闇堕ちしたノボルを、「お前の居場所はここだろ!!」「帰ってこいよ!」とコブラとヤマトが延々10分以上涙ながらに説得するシーンも、皆、親切に黙って傾聴して待ってあげていたのを見て、

視聴者の私でさえ、タリいな切ろうかな、と思ったくらいであるのに、なんて皆優しいのだろう! と感銘した。

そんな優しさを持ったハイロー界登場人物の例に漏れず、雅貴も、広斗にはめちゃくちゃ甘い。

映画を観て、そういえば、雨宮兄弟ってそもそもの行動原理と神出鬼没の理由は、「長男を探す」なのに、何でムゲン潰そうとしてたんだっけ、って思い返してみたら、最初は単に、雑魚っぽいムゲンの下っ端から「有り金置いてけやー」みたいに絡まれバイクを蹴られた広斗がキレたってだけだった。

「長男を探す」が行動原理であるという前提を忘れていなかった雅貴は、最初はちゃんと、ムゲンの下っ端に絡まれても「行こうぜ」と、無視して帰ろうとしているし、キレて相手に殴りかかった広斗を「やめろって」と止めている。途中で、うっかり自分もキレて喧嘩しちゃうけど、雑魚を潰した後で冷静になって、「お前らの頭どこだ」とか言ってる広斗に、もういいじゃんーーと諌めているのである。

 

けど、結局、頭潰さないと気が収まらん!!とか憤慨している広斗に、「もーお兄ちゃんの話聞かない!!」とかなんとか言いつつ、律儀にちゃんと付いていってあげて、一緒に喧嘩してあげているわけ、それもたぶん一回ではなく何回も(?)

 

でこれはぜったいに広斗も、「どうせ雅貴は付いてきてくれるし」って思ってるんだろう。

無視しても「うっせえな」とか舌打ちしても、自分が勝手にキレて暴走しても、どうせ雅貴は許してくれるし付いてきて一緒に喧嘩してくれるし、と広斗は思っているので、そういう安心があるからこそのああいう態度。

雅貴さあ、広斗甘やかしすぎじゃないか?? って感じだけど、逆に考えると、この前提と安心が裏切られたとき、広斗はどういう態度を見せるか?

びっくりしてめちゃくちゃヘコんじゃうんじゃないだろうか??

 

というわけで、これは私のオタクな歪んだ愛情ゆえの願望なんだけど、お願いだから、今後、何らかの理由で、雅貴は広斗のことを一回本気で怒って殴ってみて欲しい。

絶対にめっちゃヘコむと思う。見たい。そして何より、殴った雅貴の方が広斗よりも落ち込むと思う。殴ってしまった…と落ち込んでるから、広斗の顔を見るなりついすぐ謝ろうとするんだけど、ここで許したらまたこいつは…と一生懸命、怒った振りを必死でし続ける雅貴の葛藤も見たい。

 

でも難しいのが、何があったら雅貴は広斗のことを殴るんだろう…ちょっと思いつかん…ハイローの基本構造は、変な自己犠牲精神美学とどうにも自分勝手な気遣いのせいで闇堕ちした(ように見える)かつての仲間を皆の愛で救うって感じだけど、「俺のせいで兄貴は…!」って感じで琥珀さんの如く闇堕ちとか全然しそうにないしな広斗は…ルシファー愛してくれとか歌っとるけど…

(ところでルシファーってこの場合誰なんだろうな…)

 

 

私が見たい雨宮兄弟 ②スモーキーに人生相談する雨宮広斗 

 

ドラマで、コブラにボコられて以来何となくやる気と目標を失った村山さんが、自分を倒した相手であるコブラのところに行って、人生相談をしていた場面があったが、

あんな感じで、広斗も、前回の映画で深く交流を深めたスモーキーのところに人生相談に行っているのを見たい。

自分が悪いとは分かっているので、謝りたいのだけど、雅貴がまだ怒っているのでは…とビクビクしてしまい、本気で怒っている雅貴に接するのが初めてなので、どうすればいいのか分からない広斗、っていうか、これまで雅貴と小さな言い争いをしても何となくそのうちなあなあになってきたので(まあ兄弟ってそうだよねー)、謝ったこととか一回もない広斗、また、雅貴が自分を拒絶したら、と思うと怖くて、上手く面と向かって話ができない広斗、

は、何となく家に居づらくなって、プチ家出的にスモーキーのところに行ったりするといい。(つうか雨宮兄弟、あいつら他に友達いるんだろうか…)

そして、「お前ら、兄弟喧嘩とかしたことあるか…?」とか、訊いたりするといい。

 

スモーキー「昔はよくした…食いもんの取り合いとか…」

 

 

雨宮兄弟は何故外で箱入りアイスを食べていたのか問題 

 

レッドレインを鑑賞した全女子のハートをざわざわさせた、問題のアイスキャンディーシーン

 

f:id:syosenningen:20161012212424j:plain

 

 

 

↑こういうことらしいのと、やりとりは完全にその場でのアドリブ

 

news.mynavi.jp

 

ということなので、正解は、「そんなに深く考えていない」でFAなのだと思うが、

もうね!! 公式はね!! 迂闊にそういうね!!!

何となくのその場のノリでのファンサービスで、オタクに爆弾を落とさないで欲しいですよね!!! 考えちゃうからオタクは!!! オタクは考えちゃうから!!!!! 石原さとみを百万発殴った顔の校閲ガールだから!!!!

 

というのは、ここで食べていたアイス、グリコのパティーナ、

 

f:id:syosenningen:20161012213803p:plain

 

20本入の箱アイスである。

 

すると、あのシーンに至るまでに、雨宮兄弟の間にどういう購買プロセスがあったのか? と考えたとき、どう辻褄を合わせようとしてもおかしなことになっちまうのだ。私は昨日の夜、仕事を終わってから寝るまでずっとこの辻褄合わせに延々苦心し続けていた。もっと他に考えることがあるだろというのはさておき。

 

まずは、真っ当に、「店で箱で買ったのを帰り道で開封した」とする場合。

これ自体は自然であるが、なら、雨宮兄弟が一度に10本アイスを食う割と強靭な腹の持ち主でない限り、箱の中にはあと18本残ってるはずである。

なら別に、わざわざ、

「それ何味?」

「ちょっとくれよ」

「俺ソーダがいいもん」

「ケチ」

とかやる必要なくないか? 別に相手が食べてるやつを貰わんでも、まだ箱の中に沢山あるんだから。仮に雅貴が、「広斗が食べてるやつが食べたい」というアブノーマルな性癖な持ち主であると解釈するとしても、広斗だって別にあげればいいのだ、ソーダ味はあと4本あるんだし。

 

ということで、「箱ごと買ったのを帰り道で食べてる」とすると、後の会話といまいち辻褄が合わなくなる気がする

逆に、超絶腹が弱くて、アイスは一日一本まで、ってことなら別だが…

 

とはいえ、別の可能性として、広斗が、自分の好きなソーダ味ばっか家で食べたあとの、「家のストックの残り」というのもどうだろうか?

わざわざ2本だけ家から持ってきたんかそれ?? 一体どんなピクニックだよ??

アイスを外で食べるためにバイクでピクニックする雨宮兄弟、ハイロー世界が一気にほんわかハートフルである。(まあそれでもいいけどさ…)

 

だが、更に考えたいのは、中学校の時にも、三兄弟でアイス食べてる描写があるという点。これを、同じアイス=思い出のアイス と設定した場合、家に箱で置いてあったはずのアイスのある味について、

「何味か知らない」

ものがある、というのはどういうことだろうか?

ってなってしまうので、会話から素直に推測すると、中学校のときのは全然別物で、エンドロール後に食べているのは「今回初めて買ったアイス」と捉えねばならないことになる。


ということで、上記の点を色々統合すると、

 「戦後処理にITOKANに行ったところ、集まっていた山王連合会とかに余りを貰った」

がもしかすると一番しっくり来るのかもしれないが(?)

(いやでもあれ海沿いだしな…)

 

 

ただこれだとなんか味気ないので、私は悪あがきでかなり頑張って妄想を膨らませてみたところ、「広斗は割り算ができなかった」という設定を、宇宙から受信することに成功した。

これは九十九さんのように、6×4ができないとか文字通りのそういう意味ではなく、もともとは一人っ子だった広斗には、食べ物を分けるという概念が無かった、という意である。

 

私事で申し訳ないが、私自身は3人兄弟で実家は5人家族だったから、母は食べ物をそれで割り切れるように作るのだけど、一人っ子だった父は、そういうことを全然考えずに自分の好きな分だけ食べて、他の家族から大顰蹙を買っていた、という記憶がある。

一人っ子は、親が買ってきたお菓子=全部自分のもの で育ってきているので、これは○個入りだから…とか一人あたりの数をあまり考える習慣がないのだ(偏見だったらごめん)

 

と考えると、グリコのパティーナは、「4種類×5本」入りであるというところにポイントがあるのかもしれない。

つまり、親は、5人家族だから、一人一本ずつ×4種 の違う味を食べられるように、という前提で買ってきたのだけど、

そういう習慣の無かった広斗は、何の悪気も悪意もなく、自分が好きな味を一人で2本とか食べてしまうわけ。

それで、食べたかった味を食べ損ねた雅貴に、

「お前割り算できねえのか!」

と怒られ、初めて、食べ物を「兄弟で分ける」という概念を知るのである。

つまり、あの中学校のときのシーンは、「兄弟で分ける」ことを広斗が学んだシーンでもあるわけだ。(※妄想)

 

そこにきて、先程の、

 

スモーキー「昔はよくした…食いもんの取り合いとか…」

 

というセリフが伏線として生きてくる(※何度も言うが本編にそんなセリフはない)

 

その場ではピンと来なかった広斗だったが、間もなく、無名街を辞して、帰路の途中、遂に、怒った振りをするのにも限界が来て心配MAXの雅貴から、どこにいるんだと連絡が入る。

尊龍失踪⇒死亡 というトラウマでかなりナーバスになっている雅貴は、これ以上家族を、後に残ったたった一人の家族を失うのがもう耐えられないから、これで広斗までいなくなったらどうしようと居てもたってもいられず、結局自分が折れて広斗を追いかけることにしたのだった。

「今から帰るって」と広斗が言うのもきかず、「迎えに行くからそこで待ってろ」

 

広斗の元に駆けつけた雅貴は、ほっとした顔をすると、何か言おうとする広斗を制し、

「今日の昼飯、当番お前だろ、早く作ってくんねーと餓死しちゃう」と茶化す

「ガキかよ、そんくらい自分で食え」

雅貴が笑っているのに安心してついついやっぱりいつものようにぶっきらぼうな調子が戻る広斗

 

そうして、食料の買い出しの途中で(そんなことやるのだろうかってのはさておき…)、ふと、アイスケースに並べられている箱アイスが目に留まる。

ああ、あれは。
ここにきて、広斗は、先程のスモーキーの台詞と、上記のアイスのエピソードを、思い出すのである。あれは、家族で分け合うってことを、兄が教えてくれたものではなかったか。

思わず足が止まる広斗に、「何だ、欲しいのか?」と面白そうにからかう雅貴。兄貴は忘れているのかもしれないな、そんなこと。

 

「2人だと多いか」と、もう、好きな味を複数本食べてもよくなったことが逆に悲しくて、広斗は呟く。

「アイスは賞味期限ないから大丈夫だろ」雅貴は広斗に微笑む。「2人でも、ゆっくりでも」

哀しみは、2人でゆっくり消していけばいい。 

 

「お腹壊すから一日一本」

箱を開けて広斗に差し出すと、雅貴はそんなことを言った。それは、買い物袋から箱アイスを取り出すときの、いつもの母の口癖だった。雅貴たちの父親と再婚した、広斗の母の。

「ガキかよ」

 

 みたいなやり取りがあったんですかね?? まーでも無理ありますよね??

 

山王に貰ったルート 

 

あるいは、山王連合会に貰ったルートにて妄想を拡げてみると、

「あの後、コブラ達と微妙に仲良くなる雅貴と、それにやきもちを焼く広斗」っていうのも、アリかもしれない。

 

コブラたちと微妙に仲良くなり、前作以来、ドタバタで行われていなかった九十九さん退院祝い(@ITOKAN)に何故か呼ばれる雅貴。

家を出る際、

「はあ? 馴れ合ってんじゃねえよ」

と言いつつ、当然のように(なぜならばいつも兄弟一緒だから)付いていこうとする広斗に対し、

「あ、広斗は来なくていいよ」と止める雅貴。

「だって、お前、すぐ喧嘩するだろ? いい子でお留守番しててね」

と置いていかれた広斗は、キリキリとしていたりするといい。

 

そして、ITOKANにて、偶然、例のアイスの箱を目にした、哀しみがまだ癒えていない雅貴は、昔を思い出して、思わず涙ぐんでしまう。

急に泣き始めた雅貴に、驚く一同だが、畜生・テッツだけは、その様子を写メって、雅貴のスマホから拝借した広斗の連絡先に、

“パーティなう”

とかって、送りつけちゃったりする。

 

「何やってんだよあいつは」

と、心配と嫉妬で結局駆けつける広斗に対し、ヤマトなどからの、

「お、今日は、“よくもまあ群れやがって”って言わないのか(笑)」

といった歓迎の言葉のやり取りがあったあと、お土産に二本、あのアイスを貰って、雨宮兄弟二人はITOKANを辞すのである。

 

お、これは結構、ありそうじゃないですか???

ありそうじゃないですか????

 

 

というわけで、オタクの皆、辻褄合わせの最適解頼む!!!

 

 

私が見たい雨宮兄弟③ 「兄貴だと思えよ」というダブルミーニング台詞 

 

話は変わるが、レッドレインによって、私が是非解決したかったひとつの疑問点として、

 

「結局、広斗は雅貴のことを普段何て呼んでいるんだ?」問題がある。

 

長男である尊龍のことは、2人とも「兄貴」でいいとして、問題は、広斗⇒雅貴

こちらも、「兄貴」だと、一緒に住んでいるとき、「どっちのこと言っているか分からない」ので、通常こういう場合って、たとえば、尊兄と雅兄みたいに、呼び方を分けたりしないものだろだろうか、

或いは、家族間にありがちなのは、「家庭内で使われている呼び方が(本人含め)全員に定着する」

つまり、たとえば、夫にとっての妻は、厳密に言えば自分の「ママ」ではないわけだが、「ママ」と呼びかけたりするのはありがちだし、家の中だけでは、実は成人しても自分のことを名前やあだ名呼びするみたいな人って少なくないと思う。何で名前呼びするかってーとたぶん、「親→自分」の呼びかけ(仮:はるみ)が、自分のことを指すもの(自分は、はるみ)として最初に覚えたものだからだ。

 

こう考えると、雅貴→尊龍 は、「兄貴(お兄ちゃん)」なので、広斗も「兄貴」と言うが、

尊龍→雅貴 は「雅貴」だから、広斗もそれに倣い、「雅貴」呼びになる、っていうのもありそうなのだけど、

 

これまでだと、「雅貴」って言ってるときと、「兄貴」と言うときがあった気がするので、レッドレインでは是非確かめようと思って必死に追っていたのだが、おそらく結局、広斗は一回も雅貴を呼びかけなかった気がする。(呼びかけていたら教えて欲しい)

でも、基本的には、兄弟にとって、兄貴=尊龍 なのだろうと思う。 

 

更に、レッドレインで描かれていた、というか私が行間を読みに読みまくって把握した、「雅貴と広斗の絆は、どちらかというと「弟仲間」としてのそれであり、広斗にとっての“兄貴”とは、基本的に尊龍のことである」という物語

 

(↓詳しくはこちら)

barakofujiyoshi.hatenablog.com

 

を鑑みたときに、拡がった妄想が一つある。

 

「HiGH & LOW THE RED RAIN」にて、不憫にも、「壁だと思え」という見せ場を一人だけ与えられなかった次男・雅貴に、「兄貴だと思えよ」と言って広斗をハグして欲しいという妄想。

これは、兄貴=尊龍 の影が忘れられない広斗に対して、二つ意味を持っている。

 

雅貴は、自分じゃ力不足だというやるせなさを抱えているし、むかし、両親が亡くなってすぐの時も、広斗は眠れないとき、同じ部屋の自分ではなくて(※妄想です)、こっそり寝室を抜け出して、尊龍の元へ行っていたのを知っていたから(※妄想です)、そしてそれを、寝たふりをしながら複雑な想いで見送っていたから(※妄想です)

今お前を抱き締めている男は、俺じゃなくって、兄貴=尊龍 だと思って縋ってくれていいから、というつもりで言っているのだけど、

広斗は、最初意味を取り違えて、「…兄貴だろ?」と怪訝に返すのである。

文字通り、兄貴=兄 という解釈。

でも、深奥にある雅貴の思いとしては、もしかすると本当はそっちの意味だったのかもしれない、俺のことを、兄貴(=お兄ちゃん)だと思ってくれよと、俺だってお前の兄貴(お兄ちゃん)なのに、って言えたらいいのに。

(話がややこしくなってきたな…伝わりますこれ?)

 

というトライアングル・ラブストーリーを、是非、二重の意味を持つ「兄貴だと思えよ」という台詞で体現してほしい。

  

 

以上をプロットに全て入れ込んだ妄想二次創作(途中)…

 

<途中っす>

 

 バイクを飛ばさずに自分の脚でゆっくりと歩いてみるとごく近所のはずの街はいつもと全く違って見えた。
 気が付かなかった狭い路地、従業員募集時給1000円のチラシ、20年前くらいのセンスの女が写る“成人式着付できます”理容室のポスター、灯りはついているが人っ子一人いない24時間営業のラーメン屋、細路の暗闇に吸い込まれるようにどんどんと歩いていくが徒歩じゃ周りの景色が後退していくスピードが遅すぎてうんざりする。早歩き、早歩き、ずんずん、ランニング、夜を振り切るように駆けていくと、右の小路から出てきた女とぶつかりそうになる。女は一瞬ぎょっとした顔をして早足で通り過ぎていった。スマホを取り出すと待ち受けの時刻は午前三時、雨がはらはらと落ちてきた。
 あと2時間は東へ走り続けないと、朝は迎えに来ない。


 せっかく雅貴をエンジン音で起こさないようにバイクに乗らずに出るようにしていたのにある夜、夕飯食ってる最中、そういえば今シーズンの月9なんだっけくらいのノリで、
「最近広斗さあ、どこ行ってんだよ、夜中」と雅貴は俺に訊ねた。
 俺は皿の上のサーロインステーキを切るのに苦心している風で目をあげないまま、別に、と言う。でもその答えは九割方正しい、別に。別にどこにも行っていない。何となく眠れなくなって辺りをふらふらと徘徊してみているだけ。
 雅貴は、煮え切らない俺の返事に一瞬むっとした顔をしたが、ぴんと“ひらめいた風”に目を見開く真似をすると、
「あっ、さては、女だろ!? 広斗、まさかお兄ちゃんを差し置いて女作ったな!?」と身を乗り出すようにした。
 こういうところだよ、と思う。本当はそんなこと考えてもいないくせに、もっと言いたいことがあるくせに、こういう言い方をすれば俺が嫌がって否定すると思って、わざと茶化すようなことを言う。如何にも今閃いたみたいな演技をしているけれど、この話をどのように切り出そうか、きっと前以てシミュレーションしていたくせに。雅貴のシミュレーション通りに否定してやるのも癪だから、
「かもな」と話に乗ることにする。
「へえええ……」自分で切り出したくせに雅貴の表情はやや歪む。「綺麗系? 可愛い系? 芸能人でいうと誰似? 夜中にコソコソ会ってないでさ、一回家連れてこいよ」
「……うちだとヤれないし」
「はあ? 女と会うからって、別にいつもいつも、会う=ヤる じゃなくたっていいだろ!」
「男女の間にはエロい関係しかないっつったの雅貴だろ」
「そこまでは言ってない」
 収拾のつかなくなった実体の無い話題は食卓の間でナイフのカチャカチャという音に消える。ふうん、つまりは、と雅貴はもうとっくに肉は切れているのに右手を動かし続けながら言った。「広斗くんの青春のためには、俺は邪魔者ってわけだ」
 自虐趣味。そんな傷付いた顔をするくらいなら口に出さなきゃいいのに、と思ったけれど、そうではなくて、ただ俺に否定して欲しかったのかもしれない。傍にいて欲しいって言わせたいのかもしれない。実際問題、二人とも口に出さないようにしているけれど、現在の俺たちにとって、そのことは一度きっちりと向き合わないといけない話題なのであった。すなわち、何となく、ずっと一緒にいるのが当たり前だったし俺達はいつも“雨宮兄弟”で一セットだったから別に意識したこともなかったけれど、ある日突然消息を絶った兄貴が、思わぬ形で“見つかった”今、つまり、兄貴を探す、という目的を不幸な方向に失った今、なお、俺たちが仕事以外で、こうしていつまでもべたべたと行動を共にする意味があるのかという。意味と目的のなく手持ち無沙汰な日々は、雅貴を、“料理に凝る”という方向に突き動かしたらしく、こうしてステーキを焼いたりしているけれど、目の前の対象物に向かって手を動かし続けるみたいな行為は、たぶんに考え事をするのにうってつけで、つまりは、別に考えたくないことをうっかり思い出してしまうのにぴったりで、ゆえに不安を捨て去らないといけないときには向かない。
「……っておいっ、ブロッコリーこっちに移すなよ!」
 存在意義の分からない野菜たちを、雅貴の皿に避けて行くと、彼はいつもの調子をやや取り戻した。「聞いてんのか広斗っ」という声が背から追いかけてくる。


 ベッドに横になり頭は覚醒したまま寝返りをうち続けて数時間。自分がこんなに情けない人間だとは思わなかったけれど、兄貴の死を目の当たりにして以降、たまに寝付いても、銃弾、銃弾、銃弾の悪夢なんか見てはっと目を覚ますようになってしまって、眠るのがすっかり怖くなった。暗闇で目を閉じても、銃弾に打ち抜かれて倒れた兄貴の最期の姿が頭から離れなくなるし、眠ったら眠ったで、今度はもっと、現実以上にクソ最悪な夢が襲う。教会の地下で兄貴と雅貴が上園会の奴らと殴り合っている。自分も戦わねばと思うが身体は全然動かない。俺は石像のようにそこから一歩も動けないまま兄貴たちはついぞ二人共倒れてしまう。兄貴たちのところに駆け寄りたいのに、動け、動け、と思うのにやはり動けない。うつ伏せになった二人の頭からは血がどくどくと流れ続ける。その赤黒い血が俺のところまでつーっと流れてくる。ふ、と何かが立ち上がる物音がする。見ると、一度死んだはずの兄貴と雅貴が頭をミンチみたいにさせたまま俺の方を睨んで立っている。何故か右手には銃。「お前は何もしなかった」と兄貴が呪詛のように呟く。「お前のせいで」と雅貴もそれに続く。「お前は何もしなかった」「お前のせいで」「お前は何もしなかった」「お前のせいで――」言葉は壁々に反響し轟音のようになり、轟音はいつしか銃弾と化し俺の身体を次々に貫いていく。でも俺はいつまでも倒れられない。許してくれと泣いても永遠に死ねないまま俺を強く睨む二人の表情から目を逸らせないまま銃弾が四方から貫き続ける。そのうちにあまりにも撃たれ過ぎた俺の胴体には、大きな穴がぽっかりとあく。どういうわけか、俺はその穴の向こうを自分で見ることができる。穴を覗くと、また教会の地下で二人が上園会の奴らと対面しているシーン。その繰り返し。
 あるいは、死んだはずの両親と兄貴の3人が、楽しそうにサッカーのようなことをしている。俺は中学生で、雨宮家に来たばかりの頃のようだ。自分も混ぜて貰いたくて駆け寄ると、兄貴が笑顔で手を振ったあとボールを足でパスしてくれる。しかしそのボールはよく見ると上園の首だ。野原は首を蹴り続けた跡の血で汚れている。俺は驚いて、こんなものは蹴られないと言う。両親と兄貴は、微笑んだまま、「どうして? 俺たちの敵なのに」と首を傾げる。ほら、早く広斗も蹴らないと。無理。蹴って。無理だって。蹴りなさい。どうしちゃったんだよ皆。「広斗」と、後ろから声が聞こえる。振り向くと、現在の年齢の雅貴が立っていた。俺はほっとして、しきりに、皆がおかしいことを訴え、雅貴に説得の助太刀をしてもらおうとする。雅貴は無言でそれを聞き続けると、目線を俺から3人の方に移し、「そうか」と言う。「それなら、広斗がこれを蹴られないっていうんなら、広斗はボールとして参加してもらえればいいんじゃないかな」
 そうね、そうだ、いい考えだ。4人は俺を押さえつけ、チェーンソーで首を――
 
 「広斗」
 はっと目を覚ますと電気のついた明るい部屋で雅貴が俺を覗き込んでいた。
「お前、大丈夫?」と、頭を触ろうとする手を、先程の夢の名残で、思わずバシっと払い除けてしまう。
「すげえうなされてたけど」雅貴は俺に拒絶されて宙ぶらりんになった手を、もう片方の手で包み込むようにした。
「………」まだ頭が夢と現実の境界線を彷徨っていて、雅貴の言葉にすぐには反応できない。
「怖い夢でも見たか?」
 俺が起き上がって、着替えるためにクローゼットを開けても、まだ雅貴は立ち去ろうとせず、そんな言葉を投げかけてくる。茶化しているのかと思ったが、表情は至極真面目なそれであった。俺は、お前の怖い夢だとも言えず押し黙る。現実の雅貴はいつもちゃんと、優しい。いつも優しいのに、俺は何故あんな夢ばかり見てしまうって、どちらかというと、自虐趣味は俺の方なのかもしれなかった。後悔なんてセンチメンタルは全て拳で吹き飛ばしてきたはずなのにやはり、もしかしたら違う結末があったかもという気持ちをきっと心の奥では捨てきれていないのだし、そういう自責が別の人物に仮託される形で悪夢を生み出しているのだろう。わかってはいるのだ。兄貴が死んだのは俺のせいなんかじゃないし、そんな風に思ったら自分でやりきれない憎悪の清算つけようとした兄貴に失礼だし、雅貴はそんなこと言わないって分かっているのに、頭で分かろうとしていることと、感情の深奥で“思ってしまう”ことはやはり違う。でもそうやって、“思ってしまう”ことが、その思いでこんなボロボロになっていることが、「正しくない」のは分かるから、俺はちゃんと強く生きる姿を見せ続けねばならない。
「あー怖かった怖かった、ペットセメタリープラス、ロメロのゾンビって感じの」
「…………」なんだよそれと笑うかと思ったのに、雅貴は深刻そうに俯いたままだった。「広斗さ……寝れないんなら、俺のとこ来ていいんだぞ」
「はっ、ガキじゃあるま――っ」腕を引かれ雅貴の方を向かされ、ぎゅっと抱きしめられるような形になり、俺は驚いて身を引こうとする。でも雅貴は俺の腰を抱き寄せ離してくれない。
「そうやって強がってるけど、自分が思ってる以上にボロボロに見えてんの、分かってる?」
「――――」
 急に身体を寄せられた驚きと照れととっくに見抜かれている羞恥で、体温そして呼吸数があがる。
「……まあでも、そうだよな。ごめんな」
「何がだよ」
「お前は、兄貴が撃たれたとこ、見てんだもんな。ごめんな広斗一人だけに背負わせて――」
「っんだよそれ!!」
 雅貴の胸をどんと押し、彼の身体から逃れる。自分の中から言うな言うなと止める声はするのに、言葉は止まらない。
「俺は、そういう、雅貴の、“自分は傷ついてる”芸が鬱陶しいから、自分はお前に同じことやらないように精一杯普通のフリしてるんだろうが」
「――広斗、俺は別に」
「ほら、そういうさ! そういう顔すんの、そういう顔して俺のこと追い詰めんのやめろよ!! ちゃんと言えばいいだろ、お前なんかより俺の方が傷ついてるって、お前のせいで」
 違う。あれは夢だ。すなわち、彼ではなく「俺が」思っていることなのだ。違う。違うのに。俺は、「違う」って言って欲しいのか?
「何が、ごめんなだよ、お前のせいで、自分は兄貴の死を背負えなかったって言えよ! 何でお前なんだよって、ほんとの弟は俺なのにって――っっ」
 頬に鈍い痛みが走る。唇の端が切れたのか生暖かい液体がつつと肌を流れた感触で、殴られたのか、とようやく認識をする。雅貴と一緒に数多の人間を殴ったり蹴ったりしてきたが、「雅貴に」殴られたのは、初めてだった。驚きで、じんじんと熱を持った頬の下をつたう血を拭うことも、いつも誰かにやられたときに反射的にそうしてしまうように、殴り返すことも忘れる。
「まだそんな風に思ってんのかよお前は」震える拳と声で、雅貴が本気で怒っていることが分かる。あるいはそれは失望なのかもしれない。俺はどうして、自分が、自分の方が一番雅貴に捨てられたくないくせに、自分が罪悪感から逃げるために雅貴をもっと傷付けるようなことを言ってしまうのか? ガキ、ガキじゃあるまいしって言ったけれど、ぜんぜん、ガキ。
「……分かってるよ、俺じゃ“兄貴”になれないんだろ」
 雅貴は扉を大仰な音で閉め部屋を出て行く。その兄貴の意味するところは、“尊龍には”なのか、それとも文字通りの意味での“兄には”なのか、聞き返す機会のないままそのまま一週間が過ぎた。

 

(To Be Con.!!)