センチメンタルの涅槃

読書、漫画、映画感想用。中二病と喪女をこじらせた25歳。ボーイズラブの話多し。https://twilog.org/Barako_Fu

きっと何者にもなれないお前たちに告げる。

 

祭りは終わり王は凱旋した。

まだSPが始まる前、前回のソチ五輪が「羽生結弦 伝説誕生」なら今回は「羽生結弦 王の凱旋」とか抜かしていたが、まさしくその通りになったわけである。

(※っていう感じの事を書いた友人のツイートがバズって私がそれを、やっぱ皆考えてることは同じかーと何気なくRTした結果、互いに別アカウントがバレるという不幸な事故も今回勃発したらしい)

圧倒的な絶対王者を前にした庶民の反応はどこの王国でも同じであり(?)

 

 

 今回の平昌で、新たにそんな王国民落ちしそうな人のために、「必見羽生結弦演技ベスト3」の話でもしようかと思ったんですけど、まあ当然のように無理だったので、無理っていうのは、羽生くんはその時その時が全て最高なので、っていうかその時だからこそ最高なので、ベストとか決められるわけないからです。(※前回の記事と大いに矛盾する発言)

 

 

例えば羽生結弦を語る際に外せない、もはや伝説となっている「2012年世界選手権FS」のロミジュリは、そりゃ演技自体の出来の話をしちゃえば、今の羽生くんと比べたらステップや滑り、全てが荒いし後半なんか本当にヘロヘロなんだけども、だからこそ荒削りな魅力があるし、凄い勢いでスターダムにのし上がっていく羽生くんの物語と演技が伝える印象とがピタッと合致していてだから感動的だ。

パリの散歩道をことごとく焼き付くし沼落ちが数多続出したであろうソチ五輪のSPも、少年と青年の狭間にいるようなあの時の羽生くんがやったからこそ、そして、この先真の意味で世界の絶対王者としての伝説を刻んでいく男の、始まりの瞬間と勢いを感じられるからこそ、より深くぐっと来るっていうのもある。

同じプログラムをやっていても、世界王者としての名を確固たるものにしていた2015年の羽生の鬼気迫る演技と、怪我をして万全ではない中、それでも王者として舞台に立ち、やり遂げた喜び滑る喜び、笑うような表情すら見せる2018平昌の羽生じゃやはり全然違う。

だから見る順番も重要だしね。

 

ということで、余裕で無理だったので、突然ですが平昌五輪ベスト羽生でも発表しますね。(突然語彙力とIQが著しく低下します)

 

 

https://img.topics.smt.news.goo.ne.jp/picture/dailysports/m_20180225025.jpg

ショートケーキのティッシュケースがこんなに似合う23歳男性存在していいの!?!?!? しかもこのケース、プーがついていたらしいじゃないですか。何だよそのプーに対する謎の情熱は。(まファンや誰かからのプレゼントだろうけどさあ)

 

 

可愛さの権化。

f:id:syosenningen:20180301233458j:plain


 

 

可愛さの暴力。

f:id:syosenningen:20180301233810j:plain

 

 

 

カメラロール見たらマジでこの画像それぞれ別のタイミングで3回も保存してた。

http://www.sanspo.com/pyeongchang2018/images/20180222/pye18022220130072-p1.jpg

 

 

 

ひょーーーーーひゃーーーーーー

http://www.hochi.co.jp/photo/20180218/20180218-OHT1I50047-T.jpg

 

 

あーーーーーー羽生くんが可愛くてつらい。羽生くんが可愛い画像を見つける度に羽生くんに「かわいいの飽和状態」「かわいいの化身」とか送りつけて逐一既読無視されたい。たまに「かっこいい」とコメント付けた時だけ「でしょ」と返ってきて欲しい。「自分でかっこいいって思ってる」っていじったら、同じ質問を中居くんに訊かれて「思ってます」って返した時の羽生くんのスクショを自分自身で送って来てくれるお茶目さが欲しい。

 

 

……ああ、そうである。あの羽生は最高だった。

 

 

色々あるが最高の羽生圧倒的1位

:「中居くんに、『自分のことかっこいいと思ってる?』と訊かれて「思ってます」と笑う羽生」

 

「世界よ、これが羽生だ」 っていうキャッチ付けて叫びまわりたいくらい好きな羽生。羽生くんの羽生み(?)がこれ以上ないくらい全開フルスロットル、最高すぎる。

 

世界よ、これが羽生だ!!!!!!!!

 

羽生結弦新興宗教なので、

従ってこればかりは要は宗派の違いであり、分からない奴には永久に分からないのだろうと仕方ないんだけど、こういう羽生を見てナルシストかよとか叩く各位へ。

羽生くんがナルシストだったら一体何だってんだよ。

 

いや実際、世界で一番の実力と実績を持つ羽生くんが自分凄いとか思っちゃダメってことだったら、

何にせよあらゆる物に於いて世界でせいぜい3000000000番目くらいのものしか持たない我々の自尊心や自意識なんてもはや1ミクロンの欠片もなく崩壊すべきってことになりません?

 

…っていうド正論はさておいてでも、

俺は素敵俺はかっこいい俺は凄い、俺はやる、んだというオーラを全身から放ちそして実際に見事やり遂げてしまうというかっこよさ。

そこがいいんだろうがよ。だからいいんだろうがよ。

しかし羽生くんはたとえナルシストにせよ、周りを見ず自分にのめり込む自己陶酔型では決してないというあたりもポイントだ。むしろ、通常の人間より、恐ろしいほど自己に対する客観性と周囲への観察眼があるように思える。この例え何回も使っているけれど、羽生くんは、「羽生結弦物語」の最高の脚本家であり演出家なのだ。だからそこには客観も観察も必要なのである。

羽生物語の脚本家であり演出家。自分の思い描く「羽生劇場」に周囲や状況の方をグッと引き込んでしまう、圧倒的羽生力。

普通の人は、俺の描く最高にかっこいい俺を実現なんてできやしない。だからこそ、そこに痺れる憧れるのだ!!!

 

って色々御託を述べたが、何にせよ、私は羽生くんのこういうところが大好きである。多分かっこいいと思ってると答えた方が面白いんだろうなって思って言ってる面もあるのも含めてね。

 

 

2位:自分が「そっち側」だと分かっている羽生最高過ぎる

http://www.sankei.com/photo/images/news/180224/sty1802240008-f2.jpg

  

ゆづるお姉さまと呼ばせて!!!!!!!!!!

 

 

3位:五輪パリピグラサン(?)をかけ記念撮影しようとする際、「ショーマクン」と宇野を呼ぶハビちゃんからの、「おいで」という羽生くんの声色の優しさ。

 

www.youtube.com

 

これについては、「宇野選手のことは、可愛いわんこみたいに思っている」という羽生くんの発言とあわせると尚更悶絶である。

つまり……「可愛いわんこ」を呼び寄せる時の声色なんですね…!!!

ひょーーーーひゃーーーーーーーーーーー(また言う)

 

 

…って3日前までは終始こういうテンションで、

何ならそのハイテンションのまま調子に乗って狂気の妄想総集編まで投下しちゃったりして↓

www.pixiv.net

 

…たのだが、帰国後の会見で私は羽生結弦という男に心底恐怖心のようなものを抱くこととなったのだった。

羽生くんは決してかっこよくて可愛いだけの男ではない。当然だが。知ってたが。

 

 

(今度はテンションが著しく低下します) 

 

たとえばそれは、

日本=スポーツを通じて、周りへの感謝や思いやりの心を持てる

世界=勝てばいいみたいな風潮

というクソのような二項対立を前提に、安易な日本人論に着地させようとする記者に対して、決してその前提に乗らず、そういうのは性格の問題、とやんわりと記者の前提を否定し、たとえとしてマイケル・ジョーダンの話をさっと持ち出した上で、

「自分は、(絶対に勝ちたい人間だし絶対に勝つと思ったときの方がパフォーマンスを発揮できるので)あまり楽しい気持ちとか、またはリスペクトをしながら感謝をしながらニコニコしながら演技をするというのは向いていない」

と言い切る羽生くんの凄まじい話術、回答の技量、負けず嫌い節全開、そしてパブリックイメージ的に何かに感謝とか優等生的回答が求められている事は分かった上で、それを裏切る切れ味に震えた事だったりもする。

 

(全文はここで読んでくれ↓)

logmi.jp

 

しかし一番は、宇野くんに対して訊かれたときのくだりである。

 

ところで、今回の平昌では、羽生くんが金、宇野くんが銀を獲ったことや、羽生くんがグリグリと宇野くんの頭を撫でていたり盛んに構っていたりしたことも含め、(別に腐女子に限らず)この二人にモエモエしていた人は多いと思うし、まあ当然の如く私もしていた。萌えていた事は認める。

 

しかし、その一方で、この二人、表面上の「可愛さ」ほどは、可愛い関係性ではないのではなかろうか…?と、やや語弊はあるが多少の薄ら怖さのようなものを感じ取っていたのもまた然り。

果たして、宇野くんと羽生くんの、この拭いきれない「距離感」のようなものは、何なんだろうか?というような事を一方では考えていたのだった。

 

 

無論、これまでも、宇野くんが本当に憧れているのは高橋大輔の方っていうのも知っていたし、例えば、自分は高橋大輔みたいに人を惹きつけ心を打つような表現面を磨いていきたいというスタンスだったりなんかして、羽生くん程には、絶対何が何でも自分が勝つみたいな風でもなさげなのかなとも思っていたりした。(※という言い方だと誤解を与えるかもしれないので付け加えるが、もちろん宇野くんだって常人の100倍は負けず嫌いだろうし、もちろん羽生くんは表現面でもピカ一ですよ、それは大前提として、その上で)

で今回は、結構そのスタンスというか心構えの違いみたいなものが、割と顕著に出ていたように思う。

 

 

話が変わるようだが、羽生くんと違い?私は結構、“たられば”について考えることは好きだ。

何でかっていうと、あらゆる“たられば”について想いを巡らせることで、「しかし、そうはならなかった今ここにある現実」が一層浮き立つような気がするからだ。

もしかしたら、ああいう可能性もあった、こういう可能性もあった、でもそうはならなかった。そうはならなかった、というところにこそ真実がある、気がする。

 

目下のところの最大のたられば。

もし、羽生結弦という宇宙人がこの時代に存在していなければ。

 

宇野くんは、この命題について本当のとこはどう思っているんだろうなあ、ということを私は男子FSが終わった後から今日に至るまで、何だかずっと考えてしまっていたのである。

 

もちろん、その人が本当はどう思っているかなんて、他人が分かるわけはないのであるが。

更に言えば、本人が“本当に”思ったこと、と言った時の“本当”なんてものはもしかしたら存在しないのかもしれない。とも思う。

今回の五輪後のインタビューなんかをずっと聞いていて、なるほどなあと思ったのは、やはり、あらゆる局や人から同じような質問をされ、同じような受け答えをしていくうちに、回答がだんだんと「洗練」されていくんですよね。

「洗練」される、という事はつまり、洗練されていなかった部分はその人の答えや思考から無くなっていくということ。

“本当”ならばあったはずの、自分でもまとまりきらない雑多な考えや感情、思い。

しかし何かを思考するにせよ、それを誰かに伝えるにせよ、まず言葉が必要なのである。その人が“本当に”思った、感じた事のうち、うまく言語化できる感情なんてほんの一部なのじゃないかと思うけれど、この時点で、言葉に出来なかった思いは存在できなくなる。更に、思考や伝達に必要な、筋道と論理。ある筋道、論理から逸れるような雑多な考えはまたどんどんと削ぎ落とされていく。

そして、自分なりに言語化して筋道立てた考えに、他者の反応や「こういうことなんですね」という解釈の言葉が加わり、「なるほどこう言えばいいのか」「こういうことなのかも」と他者の反応や解釈に多少は影響された「完成回答」が、できてくる。

そのうちに、その「完成回答」が自分の考えとして脳内に定着する。

 

だから結局のところは、どうしたってわかりようがないことだし、これから書く私の話だって、そうして切り取られたごく一部でしかなくって、多分思った事の半分も伝えきれないのだろうが、が、しかし考えてしまう。

五輪で銀メダルなんて、本当だったら十分に本当に十分に物凄いことなのに(だって、高橋大輔だってバンクーバーで獲ったのは銅メダルだし、浅田真央だって銀なのだよ)、五輪は抜きにしても、そもそも宇野くんだって、世界ランク2位の凄い選手なのに、同じ時代に、羽生くんがいるせいで言葉は悪いが注目がどうしてもそっちへ行ってしまう。

 

もちろん、羽生結弦がいなければなんて問いにも意味はないのだ。だって、いるから。圧倒的なスターとして存在してしまっているから。

しかし、宇野くん自身はそれを、そんなに気にしていないように見える。

もしかしたらーー初めて、羽生に勝てるチャンスだったかもしれない事も、気にしていないように見える。

言葉でも「負けたのは悔しくない、実力の差なので仕方ない」と言う。それが真実なのかもしれない。色々な“たられば”はある、けれども羽生くんが勝ったというこの現実にこそ。

けれども、そんなに気にしていないように見えるからこそ、私は凄く気になってしまっていたのだった。

 

自分が圧倒的王者に成り代わりたいと思っているのか。

それとも、羽生くんが圧倒的存在でいてくれる事がむしろ助かっているのか。

つまり宇野くん自身が口にするように、メディアや世間の期待を一手に背負う存在が他にいてくれる事がプレッシャーからの解放に繋がるということだったり、「○○になら負けても仕方ない」という絶対王者が君臨している事は心の重荷を少し減らすのかもしれない(そこが、1位と2位以下の差であると私は思う)。

 

そういうことを数日間色々考えてやはり思ったのは、

これはどちらが強いとかどちらが凄いとかどちらが正しいとかそういう事ではなくて、何というか、向いている方向として、

実際のところ、宇野くんは、羽生くんを超えようとは思っていないんじゃなかろうか。

 

 

というのは、宇野くんからの羽生くんへの想いの勝手な想像だけども、この度の帰国会見で、何か羽生くん側から宇野くんへのアンサーのようなものが垣間見えて、

私は恐怖に打ち震えた。

…恐怖? 恐怖と言って差し支えがあれば、「畏怖」とでも言おうか。

下記は、記者に宇野選手について訊かれた時の羽生の回答である。

 

まず、1つ言っておきたいのは、僕はもうあの時点で勝利を確信していたので、彼が4回転ループを本当にきれいに決めていたとしても、まず点差的に負けることはなかったなと、まず言っておきます。

(笑)ね。すごい突っ込まれてたし、ファンの方々もあんまりよく思っていない方もいらっしゃったかもしれないんで、まず前提として。

やっぱり後輩が強い。まあそんなにいっぱいいるわけでもないんですけどね、フィギュアスケーターは。まあ自分を追い抜かそうとは本音では思っていないかもしれないんですけれども、近づきたいって思ってくれる存在。そして、なんだろう……それが自分の国の代表としている。それは非常に心強いことだなと。

考えてみれば、まだ引退するとは言わないんですけど、言ってないし引退する気持ちも全然ないしやることありますけど。ただ、「引退します」ってかんたんに言っちゃえば、彼に任せられるというか、そいう頼もしさは感じています。

ただ、まだもうちょっと……人前に出る時に寝るとか(笑)、そういうことはもうちょっと学ばなきゃいけないのかなと。

もうちょっと面倒を見なきゃいけないのかなっていうふうに思っています(笑)。

 

 ……いや、めちゃめちゃこわないですか????

めちゃくちゃ怖くないですか????

恐怖のあまり、マジで、ヒュウ…!という声が出た。

まあ、勝手にふるえてろ。って感じですけど、はい。

(念のため、「怖い」っていうのは悪口ではないですよ)

 

この言葉に対して「羽生くんって結構怖い男だな」と思ったポイントは色々ある。

 

①地味にアンチを牽制している点

「ファンの方々もあんまりよく思っていない方もいらっしゃったかもしれないんで」と言った時の、「ファンの方」が、

・宇野くんが最初のジャンプ決めてればなーと思っている宇野くんファンの方

なのか、

・↑って一部のメディアや羽生アンチが言っているという事に対して、いやジャンプ決まってても羽生が勝ちだわとよく思っていない羽生くんファンの方

なのか、私の読解力では掴みかねている(多分後者だろうけど)んだけど、いずれにせよ、地味にアンチを…牽制している…! このアンチやメディアへの牽制は今回の平昌で何回も見られたが…!

 

(しかし羽生くん、一体いつそんなエゴサする時間あるんだろう…羽生情報収集部隊でも抱えているんだろうか…)

 

②宇野くんが、色々なインタビューで「完璧な演技をすれば自分が勝てると思ったけれど、最初のジャンプを失敗した時点でもう駄目だと思った。だから後は自分の演技をしようと」「結果には満足している」みたいな話をしているのを、羽生くんは何度も隣でニコニコと聞いていた…という点

という事を鑑みると、羽生は、宇野くんの話を、「僕はもうあの時点で勝利を確信していたので」と思いながら聞いてたって事ですよ。ずっと。あなたが最初の4ループを綺麗に飛ぼうが、俺が勝っていたけどと思いながら。

この「あの時点」とはどの時点なのかこれもいまいち判断がつきかねるんだけども、これを、「自分がフリーを滑り終わった時点」とすると、超怖いのである。

念の為言っておくと、宇野くん自身も、自分が4ループを成功させようが羽生くんに勝てなかったのは分かっているしそう言っている。けれどそれはこの話の本質ではない。つまり言いたいのは、点数差的に、宇野くんが4回転ループを成功させようがさせまいが、羽生くんに勝つ事は無かった、っていうのはあくまで「結果論」だということである。羽生くんが滑り終わった時点では、宇野くんがどうなるかはまだ不確定だったはずだ。実際、宇野くんがPBと同じようなスコアを出せば羽生くんを上回る可能性はあったにも関わらず。(※これも念の為言っておくと、勿論宇野くんの構成はPBを出した試合より基礎点自体が下がっているというのはあるけれど)

 

つまり、羽生くんは、

宇野くんはここで、PBに近いスコアを出せないだろうと。

「完璧な演技」は出来ないだろうと。

或いは、出来たところで自分を越えられないだろうと。

 

そう思っていたのだ。そこにこの話の恐ろしさがある。

ジャンプの成功とかそういう話ではなくて。そもそもの、「フィギュアスケーターとしての力量」として、羽生くんは自身の勝利を確信していたのである。

更に、この点を踏まえた上で、着目したいのが、

 

③「引退後」は任せられると言っている点

 こういう言葉尻で揚げ足を取るのは多分羽生くんは嫌なんだろうけども、「引退したら」任せられるって言うってことは、裏返せば「引退するまでは」自分が一番って思ってるって事だ。

 私はむしろ、一見いい話のようであるここにこそ、最も羽生くんの本音があるように思った。要は……宇野くんの事をライバルだと思ってない。「今のところは」とかじゃなくて、自分がやめない限り、(少なくとも国内に於いては)自分が一番だと思ってるのではなかろうか、羽生くんは。

そして私は、羽生くんはそう思っていると思っていたけれども、実際にこうして本人から言葉としてアンサーを突きつけられると、やはり少し怖いものがあったわけである。

 

しかし、上記に書いた点は、言ってみれば、まあ、でしょうねという感じで大した問題ではないのだ。実際のところ、羽生結弦が完璧な演技をすればまだ世界の誰も勝てないのは事実なのだから。

けれど、宇野くんに対するアンサーとして、私が一番ゾッとしたのは、羽生くんがさらりと漏らした、

「自分を追い抜かそうとは本音では思っていないかもしれないんですけれど」

という言葉だ。

 

先程、「宇野くんは羽生くんを超えようとは思っていないのではないか」と書いた。

これは決して、宇野くんは羽生くんに追いつく事を「諦めてる」と言いたいわけではない。勝ちたいと思っていないと言いたいわけではない。競技の「結果として」、もしかしたら順位や点数が越える事はこの先あるのかもしれない。が、しかし。

宇野くんが目指す先に、はなから羽生くんはいないのではないだろうか?

 

 

そのことを、羽生くんは察しているのである。

 怖い。

何が怖いのだろう。色々考えてはみたけれど、この感情が一番言語化が難しい。この感情をうまく伝えることが難しい。

 

根本のところでは俺を追い越そうと思っていない事があなたが俺に勝てない理由だと言っているようにも聞こえるからか、 羽生くんと宇野くんの関係性が、自分がうっすらと思っていた通りのものであった事の怖さか、それとも、

この決定的な所で分かり合っていないし互いを見ていないし別に互いに分かり合おうともしていない感じに対してか。

仲が悪いとかそういう事を言いたいんじゃない。決して仲が悪いわけでも嫌いなわけでもないだろうし、羽生くんが宇野くんを可愛い、面倒を見たいという気持ちも、宇野くんが羽生くんを凄いなと思う気持ちも、偽物ではないだろう、そういうことではなくて。そういう表面上の話ではなくて。

羽生くんが、宇野くんの事をライバルとして見ていないのと同様に、たぶん宇野くんの方も羽生くんの背中を見つめてはいない。見つめてはいない事を羽生くんは知っている。その上で、「自分を追い抜かそうとは本音では思っていないかもしれないんですけれども」という言葉には、ある種、突き放した諦めのようなものも感じてしまう。

あなたが俺のところに来ようとしてくれないのは知っているけど、それでもいいよ。

そんな。

 

 

 

自分を追い抜かしてくれる誰かを、羽生くんはずっと待っていたんだろうか。待っていたけど誰も来てくれないから、期待するのをやめたんだろうか。

それとも、誰も自分のところに来て欲しくはないんだろうか。自分がいつまでも一番でいたいから自分が一番であることを表明し続けるんだろうか。

分からない。私は世界一になった事がないから分からない。たぶん他の誰も。

きっと私はそれが少し寂しいのかもしれない。分かると言うのは傲慢であり勘違いだが、分かりたいという思いを止めたくはないんだよ。